つわりで思うように「食べる楽しみ」を満喫できないせいか、最近食べ物につい
て書かれた本を読み返している。
C.Wニコル氏の「冒険家の食卓」に始まり、辺見庸氏の「もの食う人々」、
松本仁一氏の「アフリカを食べる」、椎名誠氏の「全日本食えばわかる図鑑」。
現在読んでいるのが開高健氏の「最後の晩餐」だ。
辺見氏の著作に限って言えば、料理うんぬんが主体ではなく、ものを食べる「人
々」がテーマなので純粋な食の本ではないと思うのだけど、
やはり出てくる食べ物たちには圧倒してしまう。
どの作者も広くいろいろなものを食しているのだけど、やはり圧巻なのが開高氏
だ。
私はどちらかというとフランス料理とかバカにしてきたクチなのだけど、
(まぁ、アンタみたいな身分がいかほどのレベルのフランス料理を食ったのかと
言うことは置いておいて)
開高氏のフランス料理の記述を読んでその考えの浅はかさをちょっと恥じている。
某作家が「せっかくの新鮮な素材をわざわざ煮詰めたり砕いてソースにしたりし
て」いると言っていたのと同じような感想を私も抱いていたのだけど、
それこそ別の目を開いてそれをよく見たら、それは「食の錬金術」なのだ。
最後になにが一番美味いかを決めるのは個人の嗜好によるものだけど、
食文化とはあまりに底が深くて、ちまちまと歩いていける範囲にあるものだけ食
べて論じてはいけないものなのだなと痛感。
私は「海外旅行」へ強い憧れを持っているのだけど、それは決してお安い値段で
ブランド品を買い漁る目的ではない。
(それに魅力がまったくないとはいえないけどね)
ひとつの憧れが、モンゴルで足元まで星が落ちてくるように見える満天の星空を
見ること。
もうひとつが、世界の食べ物を食べ歩くことなのだ。
それはもう、南アフリカのやぎの頭の塩茹でから、イヌイットのあざらしの血の
スープまで。
フランスはブルゴーニュ産の超超高級ワインから、東南アジアの屋台で売ってる
椰子酒まで。
安全第一な日本国で生まれ育って添加物にはめっぽう強いが雑菌には弱い胃腸を
もってるだろうと推測されるから、
時には痛い目も見ることは容易に想像されるのだけど、
それでもいつか、ぶらりぶらりと世界中の食べ物を食べて歩いてみたいのである。
もともと自分は食い意地の汚いヤツだとは思っていたが、こうして書いてみると
本当に汚いなぁ(笑)
まずは、日本の食べ物を征服しないとね…。
最近のコメント